【認定調査】どうやって介護の重さが決まるの?

要介護度には、要支援1 要支援2

要介護1から5の 7段階が設けられています。

※ 要支援1 → 要支援2 → 要介護1 → 要介護2 → 要介護3 → 要介護4 → 要介護5  の順に重くなる

要支援は、要介護になる前の段階。介護になる前に予防しましょうという方針で設けられている

はじめて、あなたの身内やあなた自身に介護が必要になったとき、まず一番に気になるのは、どの介護度になるか!?ではないでしょうか?

個々に希望するスタイルにもよりますが、ほとんどの方がまず『どうやったら介護度が重くなるか』と、頭を悩まされます。

それは『こんなに大変で困っているのだから…』

『とりあえず介護度が重ければいっぱいサービスが使えるから』と、安易に考えてしまいがちですが、一概に重ければよいということではありません。

介護度が重くなればディサービスやショートスティなどの施設利用の料金も高くなります。

その方に合った介護度でサービスを使うことが、ご自分にとっても介護保険料を支払うお国の財政にとっても、最もよい選択肢になるのです。

目次

【病気の悪さ】ではなくお世話する時間の【長さ】で評価される

認定調査員をやっていると、よく病気の悪さや身体の不自由さをうったえられることがあります。

ここが誤解されやすいところで、認定調査の評価はあくまでも『お世話にかかる時間の長さ』が、判断基準になるのです。

寝たきりで経管栄養など口や鼻に管が通されており言葉が話せない。手や足も自由に動かせない、常時オムツ使用なら間違いなく要介護5になるでしょう。

しかし、足が不自由で歩くことができず、車椅子生活でも自走で操作してトイレに行ったり工夫して着替えができれば、要介護1相当になる場合も!?

たとえば身体がピンピンしていて身の回りのことがひととおりできる72歳の男性。どこまでも歩いていくことができ、遠方で警察に保護されることが頻繁にあるので、要介護3の認定がおりています。

これは、目を離すとすぐに外出して迷子になってしまう。徘徊の防止には始終見守りが必要であると『介護の手間』が評価されているのです。

逆に、余命3ヶ月の全身転移の末期感の患者さんに、いちばん軽い要支援1が出ることもよくあります。

癌の末期は段階的に症状が悪化していいます。そのため、認定調査の時点で自力でトイレに行けて食事できて自立していたので『介護の手間』が少ないと判断されたからです。

著者の知っているケースで、まったく目が見えない全盲のご高齢の方のことです。手探りの生活で、家の外に出なければ一人で暮らすことができているため、要介護より軽い要支援の認定結果が出されたことがありました。

※市町村によって判断の基準は多少異なります。

認定調査を受けるうえで知っていてほしい3つのポイント

まず初回の認定調査に訪れるのは、市役所や社会福祉協議会の職員さんです。その後、半年〜1年と出た介護度に期限が定められ、期限が切れて更新する場合、2回目の認定調査を受けることになります。市区町村によって違いますが、2回目以降の更新時には、居宅介護支援事業所などの普段はケアマネージャー業務をしている人が委託される場合もあります。

①認定調査の時間は平均45分 要点を的確に伝えましょう

認定調査には、おおよその時間の目安があり30分から1時間〜平均45分程度になります。

よほど認知症のない、しっかりと意志を伝えられる方であれば、ひとりで調査を受けることも可能です。

しかし、はじめての認定調査ではご家族が立ちあわれることが多いでしょう。

そこで、限られた時間のなかで、どれだけそのときの介護の実態を適切にを伝えられるかが、正確な介護度をもらうために必要になってくるのです。

・介護する家族さんにとって、いちばんの困りごとはなにか? 時間がかかり手間をとられていることは……!? 

(失禁がありトイレや寝具の後始末、衣類の洗濯が大変 本人が嫌がるのでお風呂に入れられないなど)

・ひとり暮らしか、夫婦2人の老老介護か、家族と同居しているか。介護に協力してるれる子や兄弟、孫なとの身内や地域の友達はいるか?

・実際にやってみないとわからないことではあるか、あらかじめ使いたい介護サービスの希望はあるか。

(ディサービスに週3回行かせたい。訪問ヘルパーさんに週2回来てほしい。お泊まりショートスティを利用したい。老人ホームなどの施設に入所させたいなど)

②認定調査で機械にチェックされるのは最近1週間の行為だけ 

それ以前のことはいくら話してもチェックが入らない✖️

認定調査には、基本項目をコンピュータで分析して行う一次判定と、認定審査会で審議される二次判定があります。あと、主治医意見書といい、お医者さんの意見も反映されます。

認定調査の基本項目は74項目にも及びます。

第1群 身体機能・起居動作 13項目

第2群 生活機能      12項目

第3群 認知機能        9項目

第4群 精神・行動障害   15項目

第5群 社会生活への適応    6項目

その他  過去14日間に受けた

     特別な医療について     12項目

それ以外に、利用しているサービスについてや、身体の自立度、認知面での自立度などもの調査項目もあります。

そして、ほとんどの項目で統一されている判断基準は『直近の1週間でどうだったか』です。

たとえば、2-5に「排尿」という項目がありますが、以前はトイレでズボンを下ろすと便器に座る前に尿がでてしまい、家族が服を着替えさせたり、トイレを掃除したりしていた。しかし直近の1週間では、たまたまタイミングが合い、トイレに座ってから出ている。

これだと一次判定では「介助されていない」にチェックが入ってしまうのでご注意ください。

しかし、認定調査は『コンピュータ』か画一的に分析する一次判定と“介護・医療・福祉”の分野からそれぞれ選ばれた『』が行うニ次判定により行われます。
二次判定で『機械』ではなく『人』により検討されますので、一次判定で引っかからないとしても、過去半年間ぐらいの状態やエピソードは、あらかじめ調査員さんに伝えておきましょう。

基本調査の“行為”に対して“問題のある“行動”については、直近の1ヶ月に何回おこったかによってチェックが入ります。

③問題行動は直近の1ヶ月以内に、どんなことが何回あったかを伝えること

ない=1ヶ月以内に1回もない

ときどきある=1ヶ月以内に1〜3回あった

ある=1週間に1回以上あった(月4回)

たとえば「ディサービスでとなりの席の利用者さんに、自分のタオルを盗られた(実際は盗っていない)と怒り出されました。

ということが、連絡ノートに先週と一昨日に2回も書かれていたのでびっくりしました」

と、家族さんに伝えていただければ、『物盗られ妄想』が、月に2回の『ときどきある』にチェックをいれられます。

「ううんっとね、あれは桜の咲く頃だったから、4ヶ月ぐらい前かしら? お父さんが散髪に行くっていって出ていったきり戻ってこなくてね……。ほんとうにびっくりしたわ。近所の人が見つけて、連れて帰ってくれたからよかったんだけど。それ一回きりなんだけどね」

こちらは残念ながら 3-8『外出すると戻れない』が一次判定で『ない』になってしまいます。

しかし、調査員さんが特記事項という備考欄に記入すれば、二次判定で考慮されますのでご安心ください。

まとめ

・認定調査は、介護度を正確に判断するために行われます。

・判断基準は病気の『重さ』ではなく、お世話にかかる時間の『長さ』である。

・認定調査の時間は平均45分。できるだけ家族が立ち合い、事前に伝えるべき要点をメモしておきましょう。

・身体の状況は、直近の1週間がどうだったかを伝える。

・問題行動は過去半年間以内に起こったことを伝える。

認定調査は介護をはじめるうえで、いちばん重要な入り口になります。出た介護度に不満があればやり直しもできますが、できるだけ一度で正確にみてもらいたいですよね。

普段の様子をよく観察して、事前にメモにまとめるなどひと手間をかけてみてください。

45分一発勝負のその日のために、あらかじめ準備を整えておきましょう。

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